エッジAIで引き出す生成AIの可能性
セッションC:リテールメディアでコンビニは進化する

【イベントレポート】伊藤忠商事が語る「メディアでコンビニは進化する」〜ファミリーマートビジョンとIdeinのエッジAIが切り拓くリテールメディアの最前線〜

2024年12月18日、Idein主催イベント「エッジAIで引き出す生成AIの可能性」にて、総合商社として多角的なビジネスを展開する伊藤忠商事株式会社の岩元 弘 氏が登壇。 「リテールメディアでコンビニは進化する」と題し、同社が推進する革新的なリテールメディア事業「ファミリーマートビジョン」の全貌と、その成功を支えるIdeinのエッジAI技術について語られました。 本記事では、リテールメディアや広告、小売業界の未来に関心のある皆様に向けて、その詳細をお届けします。

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消費者接点を起点に価値を創造する伊藤忠商事「第8カンパニー」とは

セッションの冒頭、岩元氏は伊藤忠商事の概要と、自身が所属する「第8カンパニー」について説明しました。 伊藤忠商事は8つの事業カンパニーで構成されていますが、「第8カンパニー」は5年前に新設された比較的新しい組織です。 既存の7カンパニーが繊維や機械、金属といった特定の「商材」を軸に事業を展開するのに対し、第8カンパニーは「商材は何でもいい」とし、すなわち消費者接点を起点とした新しい価値創造をミッションとしています。

その中で、グループ最大の消費者接点であるファミリーマートを土台とした新規ビジネスとして、リテールメディア事業「ファミリーマートビジョン」が推進されています。

驚異のリーチ力!「ファミリーマートビジョン」が提供する新たな広告価値

「ファミリーマートビジョン」は、全国のファミリーマート店舗のレジ上に設置された3面連結の大型デジタルサイネージです。修正_セッションC_page-0007

2021年9月に事業を開始し、現在では1万店舗以上に導入。 その圧倒的なスケールがもたらすリーチ力は、「2週間で約5,500万人」 にも及び、これは大手テレビ局に匹敵する規模だと岩元氏は強調します。

このメディアの強みは、単にリーチ数が多いだけではありません。

 

  • ■インパクトのある視聴体験

大型スクリーンと音声により、消費者に近い位置で商品を訴求。

 

■最適な設置場所

来店客がレジ待ちで足を止め、視線を向けるレジ周辺に設置することで、高い視認効果を確保。
 

■購買行動への直接的影響(リーセンシー効果)

商品を手に取れる店舗内で広告に接触するため、興味喚起から購買までをスムーズに繋げることが期待できます。

岩元氏は、「メディアの世界では、質の高さはもちろんのこと、量が非常に重要。この規模感があるからこそ、広告主にとって魅力的な媒体となっている」と述べました。

IdeinのエッジAIカメラ「Actcast」が実現する高精度な効果測定

「ファミリーマートビジョン」のもう一つの大きな特徴は、IdeinのエッジAIプラットフォーム「Actcast」を活用した高度な広告効果測定です。
広告主が最も重視する「投資対効果の可視化」を実現するために、AIカメラが重要な役割を担っています。

 

 

■正確な視聴者データの取得

AIカメラがサイネージの視聴者をリアルタイムに分析。 年齢・性別といった属性データや、実際に広告をどれだけの時間見たかといった視認データを実数で把握します。 これにより、「ターゲット層へリーチしているか」「本当に見られているか」を正確に把握できます。 岩元氏によると、視認率は約65%と高い水準を維持しているとのこと。

 

■プライバシーへの配慮

カメラで取得した画像データはエッジデバイス内で即座に解析・テキストデータ化され、元画像は破棄されるため、個人情報保護にも最大限配慮されています。

 

■従来のメディアとの違い

テレビCMなどでは視聴者属性の把握が推計に頼らざるを得ない部分がありましたが、「ファミリーマートビジョン」では実数に基づいたデータを提供できる点が大きな優位性となっています。

 

この効果測定データは、売上データ(POSリフト)やアンケート調査の結果と組み合わせることで、広告の包括的な効果検証を可能にし、広告主はキャンペーンの途中での戦略調整(コンテンツ変更、予算配分の見直しなど)もデータに基づいて行うことができます。

リテールメディアのビジネスモデルと今後の展望

「ファミリーマートビジョン」は、広告主からの広告収入によって、サイネージの設置費用や運営コストを賄うビジネスモデルを構築。
その結果、事業開始2年目にして黒字化を達成し、累損も解消しているという驚異的な成果を上げています。


特筆すべきは、広告主の構成変化です。
当初はコンビニ取扱商品(飲料メーカーなど)の広告が中心でしたが、メディアとしての規模と効果が認知されるにつれて、ファミリーマートでは取り扱いのない商品やサービス(動画配信サービス、人材派遣会社、自動車など)の広告が半数以上を占めるようになってきているとのこと。
「テレビCMと同様のマスメディアとして認知され始めている」と岩元氏は分析します。
今後の展望としては、まずファミリーマート全店(約16,000店舗)への設置拡大を目指すとともに、他の小売事業者とも連携し、メディアネットワークをさらに広げていく構想が示されました。
これにより、リーチできる消費者層がさらに拡大し、リテールメディア市場全体の活性化に繋がることが期待されます。

リテールメディア成功の秘訣 「規模」「効果測定」「安定運用」

最後に、岩元氏はリテールメディア成功の秘訣として、以下の3点を挙げました。

 

1.規模の確保

AIカメラがサイネージの視聴者をリアルタイムに分析。 年齢・性別といった属性データや、実際に広告をどれだけの時間見たかといった視認データを実数で把握します。 これにより、「ターゲット層へリーチしているか」「本当に見られているか」を正確に把握できます。 岩元氏によると、視認率は約65%と高い水準を維持しているとのこと。

 

2.効果測定の精度

カメラで取得した画像データはエッジデバイス内で即座に解析・テキストデータ化され、元画像は破棄されるため、個人情報保護にも最大限配慮されています。

 

3.安定運用

大規模な店舗網でシステムを安定的に稼働させ、信頼性の高いデータを提供し続けること。
Ideinとの連携により、トラブルを未然に防ぎ、リモートでの迅速な対応が可能となっている点が、安定運用に大きく貢献していると述べました。

 

「Ideinの技術とサポートがあったからこそ、この規模での展開と安定運用が実現できている。我々もこのプロジェクトを通じて育てられた」と、岩元氏はIdeinとのパートナーシップの重要性を強調しました。

まとめ コンビニをメディアへと進化させるIdeinのエッジAI

伊藤忠商事が推進する「ファミリーマートビジョン」は、コンビニエンスストアという日常的な消費者接点を、テレビCMに匹敵する影響力を持つ広告メディアへと進化させる、まさにリテールメディアの最先端事例と言えるでしょう。


その成功の裏には、IdeinのエッジAIカメラ「Actcast」による高精度な効果測定と、大規模展開を支える安定した運用技術があります。

「2週間で約5,500万人」という圧倒的なリーチ力と、その効果をデータで「見える化」する技術の融合が、リテールメディアの新たな可能性を切り拓いています。

 

当日のセミナーの様子を動画でご覧いただけます。

Ideinが提示するエッジAIと生成AIの融合がもたらす未来を、ぜひ映像でご体感ください。

Ideinが提供する「Actcast」プラットフォームと、それを活用した革新的なソリューションは、多くの企業にとってAI導入のハードルを劇的に下げ、これまで見過ごされてきた現場の課題解決や、新たな価値創造の扉を開くものです。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせいただくか、詳細資料を請求いただき、Ideinのソリューションが貴社のビジネスにもたらす可能性をご確認ください。