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AIマイクで収集したデータの効果的な活用方法 ―― 攻めのDX編

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こんにちは、IdeinでAIマイク "Phonoscape(読み:フォノスケープ)" の開発を担当している三根(みね)です。

前回のブログではAIマイクの導入について、スタッフをカスタマーハラスメント(カスハラ)から守り、コスト削減を実現する「守りのDX」としてご紹介しました。

今回はAIマイクを活用した「攻めのDX」についてお話します。
Phonoscapeを使って収集したデータは、録音データを証拠として活用するといった「守り」の用途だけでなく、データドリブンな意思決定に活かしていくための「攻めのDX」に活用できるのです。

その鍵となるのは、エッジAI×生成AI(ChatGPT)の活用です。
今回もすぐに現場に活かせる情報を詰め込んでいます。
是非、最後までお付き合いください。

目次

  1. ChatGPTが起こしたパラダイムシフト
  2. ChatGPT以前のテキスト解析ソリューションの限界
  3. テキストマイニングにおけるChatGPTの真価は「ラベリング」にあり
  4. データをラベリングする意味とは?
  5. Phonoscapeで接客現場に攻めのDXを
  6. お問い合わせ先

ChatGPTが起こしたパラダイムシフト

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2022年末に公開されたOpenAI社のChatGPTの衝撃は凄まじく、それまで2045年頃と予測されていたシンギュラリティ(人間と人工知能の臨界点)の到来を、2024年まで大幅に早めたとも言われています。

皆さんもChatGPTを一度は利用したことがあるのではないでしょうか。しかし、一方で「活用方法がわからない」「使ってみたもののあまり効果を感じられなかった」として利用をやめてしまったケースも多くあると聞きます。

Ideinの開発したAIマイク "Phonoscape" も、テキスト化した録音データの解析にChatGPTを利用しています。
膨大なテキストデータから瞬時にインサイトを見つけ、すぐに現場のビジネスに活かすことができる――これこそがまさにChatGPTの本領発揮といえます。

AIマイクで取得した録音データのChatGPTの活用方法と、そこから得られたデータをどのように経営指標として活用できるのかについてご紹介します。

ChatGPT以前のテキスト解析ソリューションの限界

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ChatGPTの登場前からテキスト情報を解析してインサイトを導き出す技術はありました。「テキストマイニング」と呼ばれるもので、大量のテキストデータから有用な情報を抽出するプロセスです。

SNSの投稿文や、顧客のアンケート結果、コールセンターに寄せられた大量のコメントの分析などに活用されてきました。

テキストマイニングでは、文章を単語や文節で区切り、それらの単語の出現頻度や傾向、単語と単語の相関関係などを把握することができます。

このデータを元にして企業のマーケターらは顧客の声を把握したり、市場のトレンドを分析したりすることができます。

しかし、データを整理し、傾向値を掴むことができても、そこからインサイトを導き出すためには、言語学や統計学など多様かつ高度な専門知識とビジネスセンスに加え、一種のひらめきのようなものも求められます。

せっかく取得したデータもうまく扱えないと宝の持ち腐れに終わってしまいます。
これでは誰でも使いこなせるソリューションとは言い難いですね。

テキストマイニングにおけるChatGPTの真価は「ラベリング」にあり

ここで登場するのがChatGPTです。Phonoscapeの録音データを元にした大量のテキストデータは、ChatGPTを使うことで、単なるキーワードの抽出に留まらず、そのデータから有意義なインサイトを導き出すところまで可能になるのです。

では、接客テキストデータから有用なデータ分析結果を得るためには、どのような分析をChatGPTに指示すればよいのでしょうか。

Phonoscapeでは、ChatGPTをテキストデータの分類(=ラベリング)に活用しています。

より具体的にイメージが湧くよう、具体的な会話のデモデータを使って説明します。
今回は、当社のAIマイクを活用いただいている携帯キャリアショップをイメージし、新規契約時の接客場面を想定したスクリプトのデータを使います(※会話内容はデモデータであり、実際の録音データではありません)。

2_sub-3顧客との会話内容のテキストデータ(デモデータ)

この接客テキストデータを、以下のプロンプトの末尾に付与してChatGPTに分析させます。

2_sub-4ChatGPTに投げたプロンプト例

すると結果は以下のようになります(※実行タイミング等によって出力結果が異なる場合があります)。

  1. ②新規契約
  2. 信頼
  3. ○    

非常にシンプルな分析結果ではありますが、今までの一般的な分析機能では実現が困難だった、ChatGPTのすごさを実感できる結果です。

例えば一つ目の設問である「来店理由の分類」ですが、今回ChatGPTには「キャリアショップにおける新規契約の場面ではどのような会話が行われるのか」といった情報は一切与えていません。携帯キャリアショップの接客の場から得られた文章である、というシンプルな情報を与えているだけです。

すでに膨大なデータを学習しているChatGPTは「一般常識」のような知識を備えており、その知識を活用して文章の意味を理解することができる、というのがわかる良い例です。

また、設問3「店員が販売促進中のプランを提案できているか」設問4「販売促進中のプランを顧客が契約したか」という2つの設問ですが、例えば「店員はプランを提案したが、契約を断られた」ケースや、「CM等を見てプランの存在をすでに知っていた顧客が、自ら契約を申し出てきた」ケースなど、今までの統計学的手法では精緻に分類することが非常に困難だったケースも、たったこれだけの単純な自然言語による指示を与えるだけで、正しく分類をすることができるのです。

データをラベリングする意味とは?

データをラベリングするというイメージが湧きましたでしょうか。
では次に、データを分類していくことで、そこからどんな価値を発掘できるかを考えてみましょう。

例えば、上記のような4項目での分析を、全接客を対象に実施することで、以下のような統計データが得られたとします。

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この結果から、同じ「回線の契約」という行為で案内内容も共通部分が多いにも関わらず、顧客満足度に違いがあることが読み取れます。このデータを元にして、満足度の低い契約手続きのフローを見直すといった打ち手が考えられます。

そして、対策を実行してからの平均接客時間や感情分布の比率のデータの推移を定点観測することで、施策によって実際に改善効果が見られたか、といったことを定量的に把握することも可能になります。

上記はほんの一例ですが、このように「接客」をラベリングをしておくことで、ある接客内容においてはどのような傾向が見られるか、といった集計を行い、ファクトに基づいた判断意思決定ができるようになります。

また継続的にデータを蓄積し数値の推移をみる、といった形で事業KPIの一つとして活用する、といったことも可能です。

こうしたラベリングにより、"定性データ"でしかなかったテキストデータを、意味のある数値として集計した"定量データ"へ変貌させることができるのです。

Phonoscapeで接客現場に攻めのDXを

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いかがでしたでしょうか。今回はChatGPTを活用した接客テキストデータの具体的な活用方法をご紹介しました。

もちろん、業界業種によって何をどう分析するのが有効かは千差万別ですが、ChatGPTの真の魅力は、その圧倒的な変更の容易性、トライ・アンド・エラーの敷居の低さにあります。

Phonoscapeを使って収集した貴重な音声データから様々な価値を発掘し、企業のビジネス変革を進めていける大きな可能性を感じていただけたのではないでしょうか。

当社ではAIマイクをお気軽にお試しいただけるサービスをご用意しておりますので、まずは現場にマイクを設置してみて、どのようなデータが得られるのか試してみませんか?
このブログを読んでサービスにご興味を持たれた企業様は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先

AIマイクに関するお問い合わせは以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
お問い合わせいただいた内容に沿って、担当よりご連絡いたします。

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